ときめきの香りは貴方ですか？
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

私はそれ以上何も言えず、ただ泣いていると優也さんは黙って私を抱きしめて
「タクシーで戻ろう。会社の会議室でゆっくりしたらいいから」

ゆっくりと私から離れて、肩を抱き寄せて、駅を後にした。

会社に戻り、久木さんが心配して会議室に顔を出してくれた。

黙って私に抱きついて、
「また後で来るからね」
久木さんは会議室を後にした。

「今、永富さんが先方に向かっている。俺も今すぐに向かうから、話、聞かせてくれる？」

私は、プレゼンの時に視線が気になったこと、今日私が誰にも言わず、寄木さんに会ったら、仕事を依頼すると言われたことを伝えた。

「ごめんね、辛い思いさせて」
「違うんです。思い出の仕事だったので、実現させたかったんです。せっかく連れて行ってくれたのに、私のせいでダメにするなんで」

「ありがとう。気持ちは嬉しいよ。ただ、そんな思いして掴んでも、いいものはきっとできない。だから、これからは何でも相談して」
「はい・・・」
「じゃあ、俺、今から永富さんとこ行くから。残念だね、永富さんの怒り狂う姿見れなくて」
「えっ？」
「久木さん、呼んでくるから。俺達が帰ってくるまで安心できないから、待っててね」
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