ときめきの香りは貴方ですか？
「ふっ・・・2人ともお互いを思っているのに・・・いっ・・・今のままじゃ悲しすぎます」

もう、私は言葉に出すことが精一杯で泣き出してしまった。

「愛里・・・」
優也さんは私の肩を抱きしめた。

お母さんも私につられて泣き出してしまった。

「父さん、俺は今、仕事も私生活もとても充実してる。家を出て行って、父さんの苦労もしったよ。きっとこれから愛里と歩む人生で、父さんの苦労をもっと知ると思う。その時は色々教えてくれよ」

その言葉を聞いて、お父さんは嗚咽を堪えて、涙を浮かべていた。

「じゃあ、また遊びに来るから」
優也さんは私の手を取って立たせてくれた。私は頭を下げて、優也さんと部屋から出て行き、車に乗り込んだ。

するとお母さんが追いかけて来て助手席の窓をノックした。窓を開けると
「愛里さん、ありがとう。優也を宜しくお願いしますね」
私の手を力強く握り締めたぬくもりに、胸がいっぱいになる。
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」

止まっていた涙がまた溢れでた。
優也さんのお母さんは私達が乗った車が見えなくなるまでずっと手を振っていた。
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