ときめきの香りは貴方ですか?
初めて恋を知った。
両親とは違う愛情を注いでくれる人が現れた。
こんな素敵な人生が、私に訪れるなんて、全く思いもつかなかった。

愛を誓い、指輪を交換し、愛の口づけを交わす。

今でも信じられず夢を見ているようだった。

あの日、私は優也さんに出逢った。

電車を乗り過ごしてなければ、あの日、バスには乗らなかった。

横に違う人が座っていたら、私はどんな人生を歩んでいたんだろう。

ほんの数分の違いで、私の人生は全く違うものだったかもしれない。

「愛里、あの時君に出逢えて良かったよ」
そういって、優也さんは私を見つめた。

「私、あの頃より少しは大人になれましたか?」

「あぁ、俺を魅了するくらい素敵な女性だよ。このまま連れ帰って抱きたい」

私は優也さんならやりかねないと、くすっと笑うと、扉が開き、フラワーシャワーに包まれる。

ときめきの香りは、優也さん、あなたでした。

二人を包む花吹雪の中で、永遠の愛を誓う口づけを交わしたのだった。

END
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