ときめきの香りは貴方ですか?
「そうそう、俺もいるからな。頼りになるぞ。惚れるなよ」
「いや、絶対龍太より私の方が頼りになるし、そもそも龍太に惚れるなんてありえないから」
研修が終わる頃には、すっかり打ち解けていた。

研修も終わり、翌日の朝から配属されることになった。
3人が待つ会議室に永富さんと制作部の城崎優也(きさき ゆうや)さん(28歳)が入ってきた。

城崎さんは、研修の時に制作部の仕事の内容や実際に打ち合わせの様子などを案内してくれた。

城崎さんからは、香水のような強調する香りはしない。それに腕時計の文字盤は黒だった。

ゆるく全体的にパーマをかけてサイドに流し、二重の目元は涼しく、端正な顔立ちで、クールなイメージがする。永富さんとは違うタイプだ。

「あぁ、新入社員、それこっちに持ってきて。あー、ちゃんと大事に扱えよ」
名前を呼ばず、一括りにして、言葉も乱暴だ。
バスでの人は、絶対に城崎さんではないと一人で納得していた。

「じゃあ風谷さんは、総務部だから僕についてきて。安河さんと三嶋くんは制作部だから、城崎さんについて行って」
配属先は、面接時に伝えた希望通りだったのでほっとした。

いよいよ私の社会人生活が始まるんだ。

配属があった日、休日前だったので3人で夜、食事に行くことに。

『かんぱ~い!!!』
2人はビール、私はウーロン茶で乾杯した。
「愛里ちゃん、お酒飲まないんだね?」
「うん、飲む機会なかったから・・・」
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