薄暗い水辺で、私は彼を思う
episode 03 顔色を変えた先輩
梅雨の季節が始まったぐらいから、お腹がチクチク痛むと先輩が言ってた。
季節の変わり目だから、体の調子が悪いんだねって話し合ってたのを思い出す。
あれが、春日の仕業なんだとしたら、いったい……
「みんな、おはよう!」
翌朝、春日を見たクラスメイトが、みんな驚いて周りを取り囲んだ。
毛先が腰まであった黒髪を、バッサリと切った姿は別人みたい。
本人は夏で熱いから短くしたと言ってたけど、ほかに理由があることは明白だ。
「髪を切ってイメチェンしたんだけど、変かな?」
涼しそうな夏服の制服と合わせて、すごく可愛くなったのが好印象に見える。
さっそく男子が、目の色を変えて話かけてるのを目にする。
「気に入ってくれたの、良かった!」
何かが憑依した、妖艶な顔つきは教室で見ることはない。
クラスメイトが知らない別の顔を、私と先輩は共有してる。
朝のホームルームが始まる前の時間帯。
クラスメイトが自分の席に座って、周りの人たちと談笑してる時。
先輩が顔色を変えて、教室に姿を見せた……