薄暗い水辺で、私は彼を思う
episode 01 絶対にゆるさない
「花ちゃん、おはよ~」
「あっ、おはよう……」
「あれれ、なんか元気ないね?」
「うん……」
梅雨の季節が終わって気温も上昇、本格的な夏がせまっていた。
高校一年生の私、花田 鈴(はなだ すず)は初めての期末試験に少し不安を覚えてる。
遊んでばかりだったので、学力試験の結果も良くなかった。
小中高と学校が一緒で幼なじみの女の子、春日 椿(かすが つばき)に勉強を教わっていなかったら赤点だったかも……
「おい、花田 鈴!聞こえないのか!」
「すいません、聞こえてます……」
「だったら返事ぐらいしろ!」
「はい……」
ぼーっ、としてたので先生に怒られてしまった。
朝のホームルームで出席確認をしてた時、自分の名前を呼ばれても上の空。
「花ちゃん、どうしたの?先輩とケンカでもした?」
「安井先輩と……べつに、してないけど……」
「じゃあ、何かあったとか?」
「なんでもない、椿には関係ないよ……」
幼なじみで同級生、高校に入って同じクラスになった春日 椿が私を心配していた。
笑顔が可愛い女の子、腰まである長い艶やかな黒髪の美人さん。
言葉遣いも優しくて、男子から人気もある。
そんな彼女と私は、とても気まずい関係にあった……