薄暗い水辺で、私は彼を思う


「先輩ね、花ちゃんの他に新しい彼女を作ろうとしてたみたい」


「それ、本当!?」


「だから、押しつけた。でも、逃れる前に先輩は病院に……」


 春日が不適な笑顔を見せながら話し続ける。

 結局、動画を見せることで呪いの対象は視聴した人に移るんだ。

 先輩は極限の状態で、呪縛から逃れる選択をした。

 私を犠牲にすることで……


「わたしの怨みは終わった。でも、花ちゃんが苦しむことはないよ」


 保健室のベッドで横になる、私に向かって春日が言う。


「ここから遠いけど、ある場所に退魔をしてくれる神社があるみたい」


「それって、有名なの?」


「いや、ネットを深く潜り込んだ時に、見たことがあるのよ」


「私、助かる?」


「調べとくから、週末にでも行かないと……手遅れになる前に……」


「ありがとう。でも、一人で行けってゆうことね……」


「花ちゃん、わたしの呪縛を浄化して」



 霊症が重くならないうちに、私は行動に出た……




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