薄暗い水辺で、私は彼を思う
episode 06 神木と精霊
私は電車に乗って一時間ほどの所にある、神社に向かっていた。
「ここかな……」
春日に渡された地図と場所を頼りに、歩き進む。
スマホは持ってきたけど、怖くて電源を入れてない。
周りを見回してると、大きな鳥居が視界に入った。
「あそこかな?」
目的の神社に無事到着、とりあえず胸をなで下ろす。
広い敷地にある大きな神社、昔から地域に根付く親しまれた場所だと一目でわかる。
でも、退魔を取り扱ってるように見えない地味な外観。
「こんにちは、参拝でしょうか?御朱印でしたら社務所にございますので」
「はい、ありがとうございます」
すごく美人なポニーテールの巫女さんに、話かけられてしまった。
黙ってるのも何だから、とりあえず敷地に入ってみる。
「まってください!鳥居の前で一礼して、本殿に向かう時は左端を歩いてくださいね」
「はあ……」
竹箒を持って掃除をしてる最中なのに、手を止めて詳しく教えてくれた。
優しそうな笑顔と、神秘的な巫女服を着てるせいか、私は心を許してしまう。
立ち話で悪いと思ったけど、相談にのってもらうことにする。
「あの、実は……怨みからくる怪異に付きまとわれて……」
「でしょうね……」