薄暗い水辺で、私は彼を思う
「鳥居の前で一礼して、本殿へ向かいましょう」
「うん、ありがとう」
頭を下げて一礼した後、鳥居を潜り抜けた瞬間。
すごく体が軽くなった。
通路の左端を歩きながら、揺れるポニーテールの毛先を見てる。
艶やかな黒髪と、巫女姿が綺麗な同級生の後をついて歩く。
大きな本殿の前で足を止め、私たちは手を合わせて頭を下げた。
「ちょっと待っててくださいね、すぐに用意しますので」
「はい」
私をその場に残して、巫女さんは行ってしまった。
周りの神木を見回すと、枝や葉がザワザワしてない。
空気も綺麗で、大きく深呼吸してしまう。
凄く居心地の良い空間に、私は癒されていた。
「おまたせしました、塩です」
「塩ですか?」