薄暗い水辺で、私は彼を思う
私の目前で、怪異が動きを止めた。
そしてすぐ、灰色に染まっていく。
「何がおきてるの……」
目前の怪異が、灰になって地面に崩れ落ちていく。
私は両手を開いて、握りしめていたお守り袋を見つめる。
燃え尽きて、灰になったお守り袋が両手の上に……
サラサラと砂ように手の平から落ちて、地面に散らばっていく。
神事で使われていた盛塩のお守りが、最後まで私を守ってくれたんだ。
その時。
スマホのバイブと着信音が同時に鳴って驚いた。
スカートのポケットから取り出したスマホの画面を私は見つめる。
そこには、巫女姿の綿貫さんと制服姿の私が笑顔で映っていた。
「ありがとう、ぜんぶ終わったよ……」