薄暗い水辺で、私は彼を思う
私から春日に言い出すことはできなかった。
でも、すぐにバレてしまう……
放課後、先輩と私が腕を組んで歩いてる姿を春日に見られてしまったからだ。
「どうして、先輩と花ちゃんが……」
体の動きを止め、目を大きく見開いた春日が声を震わせながら言ってくる。
「俺たち、つきあってるんだ」
「えっ、うそ……」
先輩は悪びれもなく、私と恋人同士だと宣言する。
春日は体を震わせながら、口をパクパク開いてるけど言葉が出てこない様子。
彼女の気持ちを考えず、勢いで先輩の彼女になったけど後悔してない。
中学校の時から大好きで憧れていた先輩だったから……
私が中学生の時、恋人同士の先輩と春日を羨ましいと思っていた。
仲のいい二人を見て心の中で嫉妬してたけど、顔の表情には出さないように注意する。
外面は、幼なじみの恋愛を応援する自分を演じていたからだ。
今は、あの時と立場が逆転してる。
私は、幼なじみより先輩を選んでしまった……