血と雪とヴァンピール
もう少し夢を見ていよう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
007
「…」
え?ちょっと待って。ベッド?バラの金装飾の天井?
なんだそれは。パッと目が覚める。スッと起き上がる。
パンっと自分の両頬を叩いてみる。
「…なにしてんだお前。」
…!男の人の声がした。よく見ると部屋の隅に人影が佇んでいる。
黒い部屋に赤い目が妖しく光る。
「いや、夢かどうか確かめたくて、、、」
ハッハッハッと雪月の影に軽快な笑い声が踊る。
「じゃあ、夢だったらなにしてもいいよね?」
いや、どういう事。すると男はその妖しい目をギラりとさせて、
私が眠るベットに乗り込んできた。
「…ちょ!」
びっくりして声もでない。
窓から差し込む光をあびるその男は貴族のようなピシッとしたフォーマルな格好で、
透き通るような白い髪に、
まるで陶器で作ったような細かい肌、
うっすらと薄めた赤い目は艶めかしくて、
その口からは尖った歯を覗かせていた。
「…吸血鬼」
私は何も体を動かせないままその目に引き寄せられるように
じっと見つめてしまっていた。
「そうだよ。オレは吸血鬼だ。」
そして、耳元にそっとささやく。悪魔のように優しい声で、
「なぁ…お前のこと食っていいか?」
いいわけないだろ!何考えてんだ!
そうツッコミたいけど声も出ない。
そして、いたづらな笑みを浮かべる。
「冗談だよ。バーカ。」
ムカッ!ドカッ!私のあげた腕が男の顔にヒット。
男は鼻を抑えて言う
「痛って!何すんだよ。」
ああ、ごめんつい。
「まあ元気そうで良かったわ。」
男はふぅーと息をつくと、安堵を含んだ笑みを浮かべた
どうやら心配してくれていたらしい。
「ごめんな。ちょっとからかい過ぎた。」
首に手をかいけて、少しは反省した面持ちしているようだ。
「体大丈夫か?」
まあ、大丈夫といえば大丈夫だけど、
そう言われてみればちょっと首がヒリヒリするような気もする。
「人間の体がどうなのかわかんねえけど、吸血鬼になる時に拒絶反応でおっちぬやつもいるみたいだからな。」
また、いたづらな表情を浮かべる。
意地悪な感じじゃなくて、どこか優し気な雰囲気だ。
「お前喉渇いてんじゃねえか。紅茶かコーヒー持ってきてやんよ。
どっちがいい?」
じゃあ、紅茶で、、、
そういうと彼は金の装飾付きのドアを開けると、
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop