煌めく星を君にあげる
「離れている時間が絆を深めるってやつじゃないのか?」

そんなことを話しているうちに、二人の真下に美しい湖が見え始めた。その湖はまるで鏡のようだ。夜空を映し出し、湖の中に星が煌めいているように見える。

「あの湖、綺麗だね」

リリーがそう言うと、アレクはゆっくりと降下して湖の上に着地する。でも魔法のおかげで濡れたりはしない。

「僕と踊ってくれませんか?」

リリーに囁くようにアレクが言い、どこかくすぐったくてリリーは笑いながら「はい!」と答えた。アレクに湖の上に降ろされ、腰に腕を回されて二人はゆっくりと踊り出す。

リリーもアレクもあまりダンスは得意ではない。リズムが早くなると体がついていけず、練習では未だに先生の足を踏んでしまう。しかし、二人きりでゆっくりと踊る時には綺麗に踊ることができるのだ。

優雅なワルツが流れているわけではなく、二人の耳に入ってくるのは夜風に木々が揺れる音、湖の水が揺れる音、フクロウが遠くで鳴いている声くらいだ。
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