✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
その言葉に細胞全てに弾丸を打ち込まれ全身からドス黒い血が飛び散り、漆黒の闇に突き落とされた気がした。

私は、あの事故以上に辛く苦しい想いをすることはもう二度とないだろうと確信していた。

でも……違った。

あの時と比べられないほどのショックで、闇に包まれたまま呆然と立ち尽くした。

きっと数秒の事……でも私にとっては未来永劫光を見ることはない。

そんな絶望的な思いに支配されていた。

……もしかして私の気持ち知って言ってる?

私の朝陽君への長年の恋心を知り、"応えられない"そう遠回しに伝えているの?

朝陽君にとって紫音は、時に本気で妬けるほど大切な義弟って知ってる。

だからって結婚しろはあまりにも残酷!

……酷い……酷い! 酷い!! 酷い!!!

いつの間にかそんな思考に取り憑かれていた。

愛と憎しみは表裏一体。

泣きながらもまさに仇を取る気分で鋭く彼を見つめ続けた。


『……じゃあ私の頼みもきいてくれる?』


『……何?』


『……一度だけで……遊びでかまわない…………抱いて』


でも気付けば信じられない本音を口にしていた。
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