✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
いつも冷静沈着で彫刻のように整いすぎ表情に乏しい彼の顔が、一瞬で驚愕に満ち満ちた表情に変換されたのを見てハッと我に返った。

私は、恥ずかしさの余りタイムスリップしたいほど強く後悔を抱き逃げ出そうとすると、彼の大きな手に左腕をギュッと掴まれた。


『莉子!』


『……なんて絶対無理よね? ……冗談! でも私も同じ。朝陽君が、好きでもない女抱けないように、私も愛してる人以外無理なの……』


私が愛してるのは、紫音じゃない。

朝陽君だけなの……一生叶わなくても……。

こんな想い、すぐ様闇に捨て去りたい!

何度そう思ったか……。

彼の手を振り切り再度逃げ出そうとすると、次は後ろからガッチリ抱き締められピタリ私の足は止まった。


『わかった』


そして重厚感のある低音ボイスが頭上から降ってきた。

彼は、体温の急上昇した身体で続きを待つ私に、信じられないことを告げた。


『今夜行くからシャワー浴びて待ってろ』


その言葉に全身カッ! となり、気付けば力づくで逞しい腕から抜け出し思い切り彼の頬を叩いていた。


『最低! 大嫌いっ!』


そして見る見る間に形の崩れた世界から全速力で走り去った。
< 11 / 54 >

この作品をシェア

pagetop