✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
今は、一番えぐられたくない事をピンポイントで攻めてくる彼とやり合う気力等まるでない。

超居心地の悪さを感じて身を固めていると、僅かにソファーが軋みビクッと更に身を固めた。

その瞬間、彼の逞しい胸筋と鍛えられた長い腕に優しく包まれ、完全に頭が真っ白になった。

その温もりは、切ないほどにあたたかく泣きたいほどに愛しくて、一ミリも動く事出来ずにいた。

そしていつの間にか純粋な少女のように嗚咽を上げ胸の痛みを吐き出していた。

朝陽君は、一頻り泣きまくる間ずっと優しく髪を撫でてくれていた。

今までも何度か抱き寄せられたり抱き上げられたりしたけれど、彼の温もりと爽やかな香りをこんなにも素直な想いで感じるのはきっと初めてで、少しづつ冷静さを取り戻すにつれ恥ずかしさが一気に爆発し、彼の男らしい左肩から顔を上げ俯いた。

彼は、逃げ出したいのにこの腕の内の心地良さから抜け出せずにいる私の右頬をふいに左手で包み、この乾いた唇に綺麗なラインの頬を右に傾けそっと労るように口付けた。

私は、余りに驚き固まり、想像以上にあたたかく柔らかな彼の唇の感触を夢見心地で感じていた。
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