✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
モノトーンで統一されたワンルームの壁際の黒革ソファーに座ると、すぐに菜緒も左横に座って来た。


「いつものあんかけ焼きそば買って来た。で、何で前日帰宅? やっぱフッて来た?」


「……フラれた」


「はぁっ!?」


菜緒は、一瞬で般若顔になり超低い威嚇声で睨み付けてきた。


「怖い怖い!」


「悪い悪い。……洗いざらい話しな。明日休みだから遠慮なく」


「では、お言葉に甘えて」


菜緒は、私の買って来たビールで無言の乾杯後、黙々と食べ飲みしながら時に頷きつつ延々と私の独壇トークを聞いてくれた。


「大どんでん返しじゃん! 遂に本領発揮の神、沖縄降臨! ……やっぱ莉子が本命か」


菜緒は、一通り話し終えた私が一気にビールを飲み干すと同時に、片手で缶を握り潰しながら興奮気味に話した。

菜緒は、朝陽君を秘かに"神"と呼ぶ。

いつも隣で神業を見ている彼女は、医師の中で一番彼を尊敬している。


「さあ? 一度も好きって言われてないし、普通では測定不可な人だから」


「まぁね。でもいくら弟を溺愛ったって、神は絶対好きでもない女と結婚するお人好しじゃない。前から言ってるけど、莉子は唯一の超ビッグ待遇って何でわかんない? 鈍感すぎ!」
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