✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
私は、思い切り覗き込む菜緒から逃れる為、右に倒れ込み茶色のクッションで顔を隠した。


「ソファーで寝ちゃって気付けば朝で出掛けちゃってた」


「じゃあ何で紅いの~? 正直に言いなさい、逃げ場はなし! どう口説かれたの~? 」


クッションにジャブ連発後、サッと奪われ不敵な笑みで見下ろす菜緒に勝ち目なしと悟った。


「……キスだけ」


「は? いい大人の男女が一晩リゾート地で過ごしてんなわけないでしょ! 詳しく聞かせ……これ神から?」


菜緒は、ふと私の左手を取ると目を丸くして聞いてきた。

私は、意味わからず上方の自分の左手を見ると、紫音からのリングではなく別の物が薬指にあるのに驚き凝視した。


「神のリングとペアぽい?」


「えっ!? ……ぽい。……全然気付かなかった」


「は!? ……マジ鈍感。取り敢えず婚約指輪の代わり? 納品までかかるって言うし」


……わかんない。

もしそうなら素直に嬉しい!

マジマジとリングを見つめると彼の物と同じデザイン+ブルーダイヤモンドの物で、彼とのペアリングに違いなかった。

だって何度も盗み見して恋焦がれ渇望したリングだもん……。

絶対に叶わぬ願いと信じていた夢が現実化するなんて……もう奇跡!

つい歓びの余り悲鳴を上げてしまった。
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