✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
すると突然玄関ドアが開き驚いた瞬間、なんと紫音が慌てて上がり込んで来た。


「何があっ!?……」


「靴脱いで!」


菜緒は、驚き眼で靴を履いたまま突っ立っている紫音に、強い口調で指摘した。

そして慌てて玄関に戻り急いで靴を脱いだ紫音を手招きすると、顎でリビングテーブルの前に座るように指示をした。


「正座っ!」


更に言われるまま私達の前方で胡座をかいた紫音に、再び激を飛ばした。

紫音は、慌てて正座をすると俯き加減で目をあちこち泳がせ身体を強ばらせた。

さっきのLINEは、ご近所さんの紫音を呼び出し事情聴取する為に違いない。

私は、この急展開の理由を理解しながらも、ただただ呆気に取られて見守っていた。


「ちょっと紫音! 莉子をフッたとは、どういう事? 説明なさい」


「……ごめんなさ!? ……イッテ~!」


「……バカ」


紫音は、謝りながら頭を下げた瞬間、リビングテーブルにおでこをぶつけ痛そうに手で押さえた。

菜緒は、その姿に非情にも冷たく言い放った。

私は、雌豹に睨まれ怯えた仔犬という妙な図がツボにハマり、つい吹き出していた。
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