✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
「で、あんたが、先生に行くよう頼んだの?」


「違う。兄貴の意志。……俺、どんどん不安になってた。本当に莉子を幸せに出来るのかって。莉子が、ずっと兄貴を好きって知ってたし、同情でOKしたのもわかってたから。……兄貴の気持ちも知ってたけど、どうしても諦め切れなくてさ。けど二日前の夜、急に兄貴が来たんだ」


紫音は、次第に遠い目をして事の成り行きを説明し始めた。

朝陽君は、二日前に珍しく連絡もせず紫音宅を訪ね、上がりもせず玄関でいきなり爆弾投下してきたそう。


『……莉子は、俺がもらう』


『!? ……いきなり何?』


『三日前の朝、女とホテルから出て来たよな。……理由はどうあれ莉子を裏切った。もうお前には託せない。 ……俺が、莉子を幸せにする。だから沖縄に奪いに行く。それだけ言いに来た。じゃあな』


紫音は、朝陽君に宣戦布告されては不戦敗確実と思い沖縄行きを断念、私を朝陽君に託した。

ホテルの件は、私の傷を増やすだけだから黙ってるよう朝陽君に念押しされたそう。


「莉子ごめん! 俺のエゴで莉子を振り回して傷付けて本当にごめん!」
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