✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
そう確信した私は、人目もはばからずしゃがみ込み、額を膝に押し付け必死に声を押し殺し泣いた。

そしてひとしきり泣き、ふと人の気配に振り向くと、何と朝陽君が足元に置いていた緑の短冊を笹の葉に付けていた。

私は、焦って涙を拭きゆっくりと立ち上がり、何もなかったように笑ってみせた。

でも朝陽君は、私を見るなり吹き出し横を見た。

私は、その姿にムッとしてプイと顔をそむけ歩き出すと、強く左肩を掴まれグイッと向きを変えられた。


『何?』


『久々にしっかり詐欺メイクしたのに……災難だな。退院するまで命のマスカラ控えな』


更なる失礼トーク連打に唇尖らせプチ睨みすると、また吹き出し肩を揺らし続ける姿にふと気付いた。

……もしや命のマスカラがっ!?

紫音を見る度に泣きそうでしばし控えていたけれど、今朝はもう大丈夫とリキ入れたのに……。

私は、一目散にトイレにダッシュ!

案の定、見事なパンダ目に引き攣り肩を落とした。

急いで直しまた病室に向かうと、もう誰もいない笹立木の前でまだ一心に短冊を見ている朝陽君がいた。


『……朝陽君』


その横顔は、とても切なく儚げで思わず名前を呼んでいた。
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