夜を照らす月影のように#2
「あれ?そこにいるのは、リオンくんじゃないか」

聞きなれない声が聞こえてきて、僕らは声がした方を見る。そこには、茶髪に赤目の男性が本を片手に微笑んで立っていた。

「……オズワルドさん、お久しぶりです」

男性の姿を見たリオンは、微笑むとぺこりと頭を下げる。

「リオン、知り合い?」

「うん。この方は、オズワルドさん。俺の父さんに、お姉さんがいるんだけど、そのお姉さんの旦那さんで魔法警察なんだ」

リオンは僕の方を見ると、男性――オズワルドさんを紹介した。

「オズワルドさん、紹介しますね。彼は、ノワール。俺の義理の弟なんだ」

オズワルドさんに顔を向けて、リオンはそう言って微笑む。

「ノワールくんか……良い名前だな」

そう言って、オズワルドさんは僕に近づくと僕の頭を撫でた。僕は、恥ずかしさから俯く。

ドクン、と心臓が嫌な音を立てた気がした。

「……オズワルドさん、家に来ますか?」

「上がってもいいのか?」

オズワルドさんの言葉に、リオンは頷いた。



オズワルドさんと向かい合うように、僕らは椅子に座る。

「オズワルドさん、今日は仕事は休みなんですか?」

リオンの問いかけに、オズワルドさんは「違うな」と一冊の本を机に置いた。表紙には、『海色の魔法使い』と書いてある。
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