夜を照らす月影のように#2
海色の魔法使いは、僕が書いた本。

「……実は、最近……人が本に閉じ込められる事件が多発していてな……この本の中にも、人が閉じ込められているみたいで……俺は、閉じ込められた人を助けたいんだ。協力、してくれないか?」

そう言って、オズワルドさんは僕らを見つめた。

「……良いですよ。俺らでよければ、協力します」

リオンの言葉に、オズワルドさんは「ありがとう」と微笑む。

「邪魔したな」

そう言って、オズワルドさんは家を出ていった。その様子を見たリオンは、ため息をつく。

「ノワール。本の世界に入るには、その本の書き出しを言うんだ。出る時は、終わりの文を言えばいい」

僕がオズワルドさんが置いていった『海色の魔法使い』を手に取ると、リオンはそう言う。

リオンに目を移すと、リオンは僕を見つめていた。

「……分かった」

リオンの言葉に頷くと、僕は本を床に置く。

「とある浜辺には、幽霊が出るという噂があった」

僕が『海色の魔法使い』の書き出しを言うと、本が勝手に開くと光り出した。次の瞬間、僕の目の前が真っ暗になった。



目を開けると、僕はどこかの森に立っていた。

「ここは、どこ?」

隣からリオンの声が聞こえてきて、僕は辺りを見渡す。
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