夜を照らす月影のように#2
「海色の魔法使いの主人公が住んでいた家の近くにある森だね」

木々の隙間から見える水平線を眺めながら、僕は答えた。

「そっか……そういや、少しだけ海色の魔法使いを読んだことあるけど……主人公が捨て猫に優しくしてて、それを見てた王子様が主人公に話しかけるシーン、結構かっこよかったな……」

「え、滅多に小説を読まないリオンが小説を……?変な薬でも飲んだ?」

「お前は、俺を何だと思ってるんだ」

僕の冗談の混ざった言葉に、リオンは苦笑する。その後、リオンは「とりあえず、散策しようか」と歩き出す。

僕は、リオンの後を付いて森を歩いた。しばらく森を歩いていると、どこからか何かが爆発する音が聞こえてきて立ち止まる。

「……何だ?さっきの音は……嫌な予感がする。行ってみよう」

リオンはそう言うと、呪文を唱えて空へと飛び上がった。そして、低空飛行で飛んでいく。

「リオン、待って……!」

僕は、慌ててリオンの後を追いかけた。リオンは、さらに加速する。リオンを見失わないように飛ぶのが精一杯だ。

「……あれ?こっちから音がしたと思ったのにな……」

リオンはスピードを落とすと止まって、辺りを見回した。

「……いや、こっちで合っているみたいだ」
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