夜を照らす月影のように#2
よく見る光景に、僕は思わずそう呟いてしまう。

「ふふっ……仲良いのですね……」

エリカさんがそう呟いたことで、皆の視線はエリカさんに移動する。

「初めまして。この本に閉じ込められいたところを、ノワール先生とリオンさんに助けて頂いたエリカと言います」

エリカさんは、そう言って頭を下げた。

「……詳しい話を聞いても?」

母さんの言葉に、エリカさんは「はい」と頷く。

「確か、その日……家を追い出された私は、行く宛てもなく町を歩いていたんです。その時、急に目の前が真っ暗になって……気が付いたら、見知らぬ場所にいて、怪物……物の怪に襲われてしまいまして。その時、ノワール先生とリオンさんに助けられたんです」

「そうか……エリカさん、と言ったか。もし、良かったらで良いんだが……この家で暮らさないか?聞いた話、エリカさんは住む場所が無いみたいだし」

「え?良いんですか?……暮らしたいです」

エリカさんは、頭を下げると僕を見つめた。

「これからよろしくお願いします。先生!」

エリカさんは、そう言って嬉しそうに笑った。
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