伝説の男、黒崎天斗!
伝説の男、黒崎天斗!第34話
4月に入り桜も満開を迎え新学期に相応しいピンク色の花びらが風で舞い散る。春らしい風が新入生達の頬を撫でる。
黒崎先輩!今日から憧れの黒崎先輩と同じ学校だ!数々の伝説を作り上げたあの人に、奇妙な噂が沢山あるが…そんなの関係ねぇ!俺は絶対あの人に弟子入りするんだ!相澤信二郎(あいざわしんじろう)は黒崎天斗に憧れてこの学校に入学した新入生だ。数多の伝説を作った男に心から崇拝している。そして新入生の中では、野望を抱く者達が沢山いた。もし黒崎を倒せば、一気に名をはせる!彼らにとってこれ以上のビッグなチャンスは他にない。淡い夢を見てそれぞれ地元で名の通った猛者達が黒崎天斗を虎視眈々と狙っていた。
他にも、黒崎天斗の名前に惹かれたミーハーな女子達もそれぞれの想いを胸にときめいていた。
「黒ちゃんおはよう!」
「おう!小山内、今日から新入生とご対面だな…」
「おう!可愛い新入生達の熱い視線をビンビン感じるぜ!」
その時後ろから
「あのぉ…」
小さな震えるような声で呼び止める声が聞こえてきた。
「はい!何でしょう?」
小山内は振り返り元気よく返事したが…
「あのぉ…これ…」
照れ笑いしながら新入生の初々しい女子が三人並んで天斗に何かを差し出した。
「え?俺?」
そう言って三人から何か小さい封筒に入ったものを受けとる。
「それじゃあ…」
三人は目を伏せキャーキャー言いながら足早に消えてしまたった。
「黒ちゃん…」
小山内は恨めしそうに俺を睨む。
「きっとそれ…果たし状じゃないか?」
小山内…そうひがむなよ…こんなのもらったって嬉しくねぇよ…
「小山内…お前は重森がいるだろ?」
そこへ後ろから
「何の話?」
重森が声をかけてきた。
「たかと、さっき可愛い後輩達から何かもらってたみたいだけど…」
「あぁ…何かもらったな…」
「かおりん!こいつ浮気者だよ!女子からキャーキャー言われちゃって…」
「あんたもキャーキャー言われたいわけ?」
「そりゃ、男なら女子からキャーキャー言われたら悪い気は………し………しま………せん…」
小山内は薫の冷たい視線に気付きタジタジになっていた。
「俺は全く興味ねぇよ…前の佐々木日登美の件で懲り懲りだからな…」
「そうだよね…理佳子を泣かせたら許さないからね!」
「わかってるよ」
薫は小山内をずっと睨んでいる。小山内は声には出さずごめんなさい、ごめんなさいと口パクで謝っている。そこへいきなり背後から
「黒崎先輩!!!おはようございます!今日も良い天気ですね!」
見ず知らずの新入生が元気よく挨拶してきた。
三人はキョトンとして
「お…おはよう…」
天斗が言った。
「では!失礼します!」
そう言って相澤信二郎は走って学校へと向かう。
「誰だあれ?黒ちゃん知り合い?」
「さぁ…全く知らん…」
「たかと…何か厄介なことになりそうだね…」
その時は薫が言った言葉の意味がよくわからなかった。
オッシャア!黒崎先輩に話しかけれたぞ!これで俺の顔は覚えてもらえただろう!相澤信二郎は教室の席に着いて1人ニヤニヤしている。そこへクラスメート達の話し声が聞こえてきた。
「なぁ、見たか?黒崎…全然噂とイメージ違うな…もっとクールで怖ぇ奴かと思ったのによ…ほんとにあれが伝説とまで言われた男なのかな…」
「俺も拍子抜けだよ!なんか優男って感じだよな!」
「もしかして意外とやれるんじゃねぇ?」
「だけど、誰がアイツを取るか決めねぇとな…」
「どうやって決めるよ…」
「そりゃやっぱ…一番強い奴ってことになるだろ!」
「いや待て!先ずは皆で黒崎叩く!それからナンバー1を決めた方が良いんじゃ?」
「最強決めるならサシでアイツと勝負しなきゃ意味ねぇだろ!」
「先ずは一年で一番強い奴選手権やるしかねぇか…」
「それでアイツに勝ったら二番目の奴も挑戦権もらえるシステムの方がわかりやすいしな!」
マジかよ…コイツら正気かよ…あの黒崎先輩に挑もうなんて無謀過ぎるだろ…これは一度黒崎先輩の耳に入れといた方が良さそうだな…
「黒崎先輩カッコいい!読んでくれたかな…」
「あんたなんて書いたの?」
「やだぁ~、言えないよぉ~」
「教えてよ!好きですとか?」
「あんたこそ教えなさいよ!何で人の先に聞こうとするのよ!」
「彼女居なかったら付き合って下さいって…」
「ストレート過ぎ~!」
新入生の女子達の中でも別の意味で黒崎を取ろうと励んでいた。
黒崎先輩、黒崎先輩、黒崎先輩!相澤信二郎は黒崎の姿を探して走り回っていた。
ドンッ!
信二郎が慌てて廊下を走り、曲がり角で誰がとぶつかってしまった。相手はビクともせず、信二郎の方がぶっ飛んだ。
「痛ぁ~」
ふと信二郎が見上げると
「あっ!黒崎先輩の側近の人!」
「あ?誰が側近だよ!」
「すみません先輩…黒崎先輩どこですか?」
「お前は…」
信二郎は小山内のがっちりとした身体の感触に感動していた。この人も…俺のこと覚えてくれたかな?
「誰だ?」
「あの…朝挨拶した一年の相澤です!」
「相澤?聞いたことねぇな…」
「あの…まだ名乗って無かったんで…」
「だよなぁ…そりゃお前のこと覚えて無いわな…」
「あの…顔ぐらい覚えて欲しいっす…」
「で?黒ちゃんに何の用だよ」
「あっ!それが…一年の中で黒崎先輩の首取る作戦が、水面下で動いてます!それを伝えようと…」
「フッ…そんなの心配要らねぇ!黒ちゃんの手をわずらわせることなく俺が全員ブッ倒してやらぁ!」
「え?でも…一年とは言え…皆それぞれ名の通った強者揃いっすよ…」
「あ?たかが一年に何でそんなにビビる必要あんだよ!それこそ格の違い知ることになるぞ!」
「でも…」
信二郎は黒崎先輩ならまだしも、この無名の人が大見栄きれるほど甘くないぞ!と心の中で呟いていた。そして、信二郎は後に小山内の強さに魅了させられることになる…
「でも…とにかく黒崎先輩には伝えといて下さいね!」
「わーった、わーった。言っとくからもう行け!」
「はい!お願いします!僕は相澤信二郎ですから!」
そう言い残して立ち去った。なんか変な奴だな…頭悪そうだし…
よし!よし!よし!よし!これで俺の株は一気に上がったはずだ!あのがっちりした先輩、ちゃんと黒崎先輩に相澤信二郎が言ってたって言ってくれよぉ~…あの人ちょっと頭悪そうだからなぁ~…信二郎は妄想にふける
よし!お前の誠意は見届けた!今日から俺の一番弟子として認めてやろう!はい!ありがとうございます!いつか伝説の相澤と呼ばれるように頑張ります!ってなぁ~…俺も超有名人になったりして…
一方、理佳子の通う学校では
あぁ、今日も清水先輩は麗しかったなぁ…なんて可愛さなんだろう…たまに俺に話しかけに来てくれねぇかなぁ…石井祐太…理佳子に恋い焦がれ片思い中の現在二年生だ。石井は下校中1人で歩きながら理佳子の事を考えている。その時、新入生二人がタタタタタ~ッと石井の横を走りすり抜けていく。
「おい!急げ!早くしないとあの超可愛い先輩帰っちまうぞ!」
「おう!あの先輩の名前聞きに行こうぜ!」
石井はその二人の指す先輩がもしかしてと勘ぐる。バカヤロ~!清水先輩は誰にも渡さん!お前ら新入りに手を出されてたまるか~!石井は新入生の後を追いかける。居た!清水先輩!やっぱコイツらも清水先輩の事を!
「すみませ~ん!ちょっと良いですかぁ~」
新入生二人が理佳子を呼び止める。理佳子と本田麻衣が振り返り立ち止まる。
「あの、先輩…」
そう言って二人が理佳子へ
「あの、お名前教えて下さい!」
本田麻衣がニヤニヤしながら
「理佳子、あんたモテ期だね!」
「止めてよぉ~」
理佳子が照れながら言う。
「理佳子先輩!名字も教えて下さい!」
そこへ
「ちょっと待ったぁ~~~!!!」
石井祐太が止めに入った。
「あ?誰?」
「清水先輩!僕の事を覚えてますか?」
「石井君!」
「あら!可愛い後輩も登場…」
本田がからかい気味に言った。
「覚えてますかって…いつも会ってるから忘れるわけないよね?」
理佳子が言う。
「石井?あんた誰?」
新入生が石井の真面目で弱そうなナリを見て完全に下に見ている。
「お前ら!後輩のくせに先輩に向かって無礼だぞ!」
「は?先輩?だから何?」
「可愛い新入生ちゃん!その子は理佳子の命の恩人と言っても良いぐらいの子なの!」
新入生ちゃん…って…こいつが理佳子先輩の恩人?とてもそうは見えねぇなぁ…
「フン!俺はなぁ、清水先輩の窮地に居合わせ、迅速な対応で救助のアシストをした男なんだ!清水先輩のファンクラブ第一号にして唯一の会員なんだ!お前らとは生きてる世界が違うのよ!」
「何訳わかんねーこと言ってんだよ!」
そう言って新入生の一人が石井をポカッと殴った。
「あぁ!暴力振るうなんて最低!石井君大丈夫?」
そう言って理佳子が石井の頭を撫でる。
清水先輩…僕は…殴られて幸せです。あぁ…この感触…もっと撫で撫でして…
「理佳子先輩!ごめんなさい!もうしませんので、電話番号教えて下さい!」
後に理佳子の正式?なファンクラブが結成され、下級生による会員は増え続け二桁代に登った。
「いいか!この中で一番強い奴があの男に挑戦権がある!それをこれから決める!」
「そりゃわかったけどよぉ…それをどうやって決めんだよ…」
「そりゃ最後に生き残った奴に決まってんだろ!」
「そんなの誰かと誰かが潰し合うまでやり合うの待って、最後にトドメ刺しゃそいつが最強ってことになるだけだろ!」
「うっせぇ!てめぇら全員うるせぇょ!ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ…お前ら全員まとめてかかってこい!」
「あ?何言ってんだテメェ!」
「黒崎落とすのは俺だ!全員まとめて来い!」
「テメェなめんじゃねぇ、」
9人が一斉に一人に襲いかかる!
しばらくして男子トイレの中は静けさが戻った。
あいつ…ヤベェ…マジでヤベェ…相澤信二郎はこの乱闘を最後まで見届けていた。あの猛者達を…たった一人で…本当に倒しちまった…あいつ…加藤浩司…とんでもねぇバケモンだぜ…こりゃ…黒崎先輩も油断出来ねーんじゃないだろうか…相澤信二郎が小山内のところへ情報を持ってきた。
「つー訳でガチで危険人物っすよ…」
「うるせぇなぁ…だから、たかだか一年坊主、眼中にねぇって」
「いやいや、実際この目で見たんすから…」
「あぁ、はいはい…見たのね?はいはい…わかったからそいつを俺んとこに連れてこいよ。お兄さんがこの世の広さを教えてやるから…」
ダメだ…この人は頭悪すぎる…全然話が通じない…早く黒崎先輩見つけないと…
「じゃ、僕はこの辺で!」
「おい!お前、今俺のことバカだから話し通じないとか思っただろ!」
「え?そ…そんなわけ…あなたならキッチリ仕事してくれると思ってますよ!」
「おっ!そうか?ヨシ…俺に任せとけ!」
やっぱバカだわ…単細胞とはこの人の為の言葉だ…その時
「清…またその子に絡まれてんの?」
薫が言った。信二郎が薫を見た瞬間…衝撃が走った!だ…誰だこの人は…めちゃ可愛いじゃん!
「かおりん、こいつがさぁ…一年の奴が黒ちゃん狙ってるとかうるさいんだよ…」
「フッ…放っておけばいいじゃん」
かおりん?かおり先輩かぁ…この二人…もしかして付き合ってんのか?なんでこんな可愛い人とこんな野蛮人が…
「あの!かおり先輩!あなたにお願いがあります!マジでヤバい奴が黒崎先輩を狙ってるんです…かおり先輩…黒崎先輩に…どうか用心するように伝えて下さい!」
「おっ…お前やっぱ俺のことバカだから信用してないってことだろ!」
「清…それは仕方ないよ…この子の見る目は確かだ…」
「かおりちゃーん…そりゃないよぉ~」
清?清先輩か…とにかくこの人は駄目だ…頼り無さすぎる…そこへ天斗も現れる。
「よぉ、小山内どした?そんな情けない顔して」
「黒崎先輩!!!お疲れ様です!」
ん?小山内?小山内清?何か聞いたことある名前だぞ…確か中学ん時そんな名前の先輩の噂を聞いたことがあるような…
たしかニックネームは…伝説のバカ?
黒崎先輩!今日から憧れの黒崎先輩と同じ学校だ!数々の伝説を作り上げたあの人に、奇妙な噂が沢山あるが…そんなの関係ねぇ!俺は絶対あの人に弟子入りするんだ!相澤信二郎(あいざわしんじろう)は黒崎天斗に憧れてこの学校に入学した新入生だ。数多の伝説を作った男に心から崇拝している。そして新入生の中では、野望を抱く者達が沢山いた。もし黒崎を倒せば、一気に名をはせる!彼らにとってこれ以上のビッグなチャンスは他にない。淡い夢を見てそれぞれ地元で名の通った猛者達が黒崎天斗を虎視眈々と狙っていた。
他にも、黒崎天斗の名前に惹かれたミーハーな女子達もそれぞれの想いを胸にときめいていた。
「黒ちゃんおはよう!」
「おう!小山内、今日から新入生とご対面だな…」
「おう!可愛い新入生達の熱い視線をビンビン感じるぜ!」
その時後ろから
「あのぉ…」
小さな震えるような声で呼び止める声が聞こえてきた。
「はい!何でしょう?」
小山内は振り返り元気よく返事したが…
「あのぉ…これ…」
照れ笑いしながら新入生の初々しい女子が三人並んで天斗に何かを差し出した。
「え?俺?」
そう言って三人から何か小さい封筒に入ったものを受けとる。
「それじゃあ…」
三人は目を伏せキャーキャー言いながら足早に消えてしまたった。
「黒ちゃん…」
小山内は恨めしそうに俺を睨む。
「きっとそれ…果たし状じゃないか?」
小山内…そうひがむなよ…こんなのもらったって嬉しくねぇよ…
「小山内…お前は重森がいるだろ?」
そこへ後ろから
「何の話?」
重森が声をかけてきた。
「たかと、さっき可愛い後輩達から何かもらってたみたいだけど…」
「あぁ…何かもらったな…」
「かおりん!こいつ浮気者だよ!女子からキャーキャー言われちゃって…」
「あんたもキャーキャー言われたいわけ?」
「そりゃ、男なら女子からキャーキャー言われたら悪い気は………し………しま………せん…」
小山内は薫の冷たい視線に気付きタジタジになっていた。
「俺は全く興味ねぇよ…前の佐々木日登美の件で懲り懲りだからな…」
「そうだよね…理佳子を泣かせたら許さないからね!」
「わかってるよ」
薫は小山内をずっと睨んでいる。小山内は声には出さずごめんなさい、ごめんなさいと口パクで謝っている。そこへいきなり背後から
「黒崎先輩!!!おはようございます!今日も良い天気ですね!」
見ず知らずの新入生が元気よく挨拶してきた。
三人はキョトンとして
「お…おはよう…」
天斗が言った。
「では!失礼します!」
そう言って相澤信二郎は走って学校へと向かう。
「誰だあれ?黒ちゃん知り合い?」
「さぁ…全く知らん…」
「たかと…何か厄介なことになりそうだね…」
その時は薫が言った言葉の意味がよくわからなかった。
オッシャア!黒崎先輩に話しかけれたぞ!これで俺の顔は覚えてもらえただろう!相澤信二郎は教室の席に着いて1人ニヤニヤしている。そこへクラスメート達の話し声が聞こえてきた。
「なぁ、見たか?黒崎…全然噂とイメージ違うな…もっとクールで怖ぇ奴かと思ったのによ…ほんとにあれが伝説とまで言われた男なのかな…」
「俺も拍子抜けだよ!なんか優男って感じだよな!」
「もしかして意外とやれるんじゃねぇ?」
「だけど、誰がアイツを取るか決めねぇとな…」
「どうやって決めるよ…」
「そりゃやっぱ…一番強い奴ってことになるだろ!」
「いや待て!先ずは皆で黒崎叩く!それからナンバー1を決めた方が良いんじゃ?」
「最強決めるならサシでアイツと勝負しなきゃ意味ねぇだろ!」
「先ずは一年で一番強い奴選手権やるしかねぇか…」
「それでアイツに勝ったら二番目の奴も挑戦権もらえるシステムの方がわかりやすいしな!」
マジかよ…コイツら正気かよ…あの黒崎先輩に挑もうなんて無謀過ぎるだろ…これは一度黒崎先輩の耳に入れといた方が良さそうだな…
「黒崎先輩カッコいい!読んでくれたかな…」
「あんたなんて書いたの?」
「やだぁ~、言えないよぉ~」
「教えてよ!好きですとか?」
「あんたこそ教えなさいよ!何で人の先に聞こうとするのよ!」
「彼女居なかったら付き合って下さいって…」
「ストレート過ぎ~!」
新入生の女子達の中でも別の意味で黒崎を取ろうと励んでいた。
黒崎先輩、黒崎先輩、黒崎先輩!相澤信二郎は黒崎の姿を探して走り回っていた。
ドンッ!
信二郎が慌てて廊下を走り、曲がり角で誰がとぶつかってしまった。相手はビクともせず、信二郎の方がぶっ飛んだ。
「痛ぁ~」
ふと信二郎が見上げると
「あっ!黒崎先輩の側近の人!」
「あ?誰が側近だよ!」
「すみません先輩…黒崎先輩どこですか?」
「お前は…」
信二郎は小山内のがっちりとした身体の感触に感動していた。この人も…俺のこと覚えてくれたかな?
「誰だ?」
「あの…朝挨拶した一年の相澤です!」
「相澤?聞いたことねぇな…」
「あの…まだ名乗って無かったんで…」
「だよなぁ…そりゃお前のこと覚えて無いわな…」
「あの…顔ぐらい覚えて欲しいっす…」
「で?黒ちゃんに何の用だよ」
「あっ!それが…一年の中で黒崎先輩の首取る作戦が、水面下で動いてます!それを伝えようと…」
「フッ…そんなの心配要らねぇ!黒ちゃんの手をわずらわせることなく俺が全員ブッ倒してやらぁ!」
「え?でも…一年とは言え…皆それぞれ名の通った強者揃いっすよ…」
「あ?たかが一年に何でそんなにビビる必要あんだよ!それこそ格の違い知ることになるぞ!」
「でも…」
信二郎は黒崎先輩ならまだしも、この無名の人が大見栄きれるほど甘くないぞ!と心の中で呟いていた。そして、信二郎は後に小山内の強さに魅了させられることになる…
「でも…とにかく黒崎先輩には伝えといて下さいね!」
「わーった、わーった。言っとくからもう行け!」
「はい!お願いします!僕は相澤信二郎ですから!」
そう言い残して立ち去った。なんか変な奴だな…頭悪そうだし…
よし!よし!よし!よし!これで俺の株は一気に上がったはずだ!あのがっちりした先輩、ちゃんと黒崎先輩に相澤信二郎が言ってたって言ってくれよぉ~…あの人ちょっと頭悪そうだからなぁ~…信二郎は妄想にふける
よし!お前の誠意は見届けた!今日から俺の一番弟子として認めてやろう!はい!ありがとうございます!いつか伝説の相澤と呼ばれるように頑張ります!ってなぁ~…俺も超有名人になったりして…
一方、理佳子の通う学校では
あぁ、今日も清水先輩は麗しかったなぁ…なんて可愛さなんだろう…たまに俺に話しかけに来てくれねぇかなぁ…石井祐太…理佳子に恋い焦がれ片思い中の現在二年生だ。石井は下校中1人で歩きながら理佳子の事を考えている。その時、新入生二人がタタタタタ~ッと石井の横を走りすり抜けていく。
「おい!急げ!早くしないとあの超可愛い先輩帰っちまうぞ!」
「おう!あの先輩の名前聞きに行こうぜ!」
石井はその二人の指す先輩がもしかしてと勘ぐる。バカヤロ~!清水先輩は誰にも渡さん!お前ら新入りに手を出されてたまるか~!石井は新入生の後を追いかける。居た!清水先輩!やっぱコイツらも清水先輩の事を!
「すみませ~ん!ちょっと良いですかぁ~」
新入生二人が理佳子を呼び止める。理佳子と本田麻衣が振り返り立ち止まる。
「あの、先輩…」
そう言って二人が理佳子へ
「あの、お名前教えて下さい!」
本田麻衣がニヤニヤしながら
「理佳子、あんたモテ期だね!」
「止めてよぉ~」
理佳子が照れながら言う。
「理佳子先輩!名字も教えて下さい!」
そこへ
「ちょっと待ったぁ~~~!!!」
石井祐太が止めに入った。
「あ?誰?」
「清水先輩!僕の事を覚えてますか?」
「石井君!」
「あら!可愛い後輩も登場…」
本田がからかい気味に言った。
「覚えてますかって…いつも会ってるから忘れるわけないよね?」
理佳子が言う。
「石井?あんた誰?」
新入生が石井の真面目で弱そうなナリを見て完全に下に見ている。
「お前ら!後輩のくせに先輩に向かって無礼だぞ!」
「は?先輩?だから何?」
「可愛い新入生ちゃん!その子は理佳子の命の恩人と言っても良いぐらいの子なの!」
新入生ちゃん…って…こいつが理佳子先輩の恩人?とてもそうは見えねぇなぁ…
「フン!俺はなぁ、清水先輩の窮地に居合わせ、迅速な対応で救助のアシストをした男なんだ!清水先輩のファンクラブ第一号にして唯一の会員なんだ!お前らとは生きてる世界が違うのよ!」
「何訳わかんねーこと言ってんだよ!」
そう言って新入生の一人が石井をポカッと殴った。
「あぁ!暴力振るうなんて最低!石井君大丈夫?」
そう言って理佳子が石井の頭を撫でる。
清水先輩…僕は…殴られて幸せです。あぁ…この感触…もっと撫で撫でして…
「理佳子先輩!ごめんなさい!もうしませんので、電話番号教えて下さい!」
後に理佳子の正式?なファンクラブが結成され、下級生による会員は増え続け二桁代に登った。
「いいか!この中で一番強い奴があの男に挑戦権がある!それをこれから決める!」
「そりゃわかったけどよぉ…それをどうやって決めんだよ…」
「そりゃ最後に生き残った奴に決まってんだろ!」
「そんなの誰かと誰かが潰し合うまでやり合うの待って、最後にトドメ刺しゃそいつが最強ってことになるだけだろ!」
「うっせぇ!てめぇら全員うるせぇょ!ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ…お前ら全員まとめてかかってこい!」
「あ?何言ってんだテメェ!」
「黒崎落とすのは俺だ!全員まとめて来い!」
「テメェなめんじゃねぇ、」
9人が一斉に一人に襲いかかる!
しばらくして男子トイレの中は静けさが戻った。
あいつ…ヤベェ…マジでヤベェ…相澤信二郎はこの乱闘を最後まで見届けていた。あの猛者達を…たった一人で…本当に倒しちまった…あいつ…加藤浩司…とんでもねぇバケモンだぜ…こりゃ…黒崎先輩も油断出来ねーんじゃないだろうか…相澤信二郎が小山内のところへ情報を持ってきた。
「つー訳でガチで危険人物っすよ…」
「うるせぇなぁ…だから、たかだか一年坊主、眼中にねぇって」
「いやいや、実際この目で見たんすから…」
「あぁ、はいはい…見たのね?はいはい…わかったからそいつを俺んとこに連れてこいよ。お兄さんがこの世の広さを教えてやるから…」
ダメだ…この人は頭悪すぎる…全然話が通じない…早く黒崎先輩見つけないと…
「じゃ、僕はこの辺で!」
「おい!お前、今俺のことバカだから話し通じないとか思っただろ!」
「え?そ…そんなわけ…あなたならキッチリ仕事してくれると思ってますよ!」
「おっ!そうか?ヨシ…俺に任せとけ!」
やっぱバカだわ…単細胞とはこの人の為の言葉だ…その時
「清…またその子に絡まれてんの?」
薫が言った。信二郎が薫を見た瞬間…衝撃が走った!だ…誰だこの人は…めちゃ可愛いじゃん!
「かおりん、こいつがさぁ…一年の奴が黒ちゃん狙ってるとかうるさいんだよ…」
「フッ…放っておけばいいじゃん」
かおりん?かおり先輩かぁ…この二人…もしかして付き合ってんのか?なんでこんな可愛い人とこんな野蛮人が…
「あの!かおり先輩!あなたにお願いがあります!マジでヤバい奴が黒崎先輩を狙ってるんです…かおり先輩…黒崎先輩に…どうか用心するように伝えて下さい!」
「おっ…お前やっぱ俺のことバカだから信用してないってことだろ!」
「清…それは仕方ないよ…この子の見る目は確かだ…」
「かおりちゃーん…そりゃないよぉ~」
清?清先輩か…とにかくこの人は駄目だ…頼り無さすぎる…そこへ天斗も現れる。
「よぉ、小山内どした?そんな情けない顔して」
「黒崎先輩!!!お疲れ様です!」
ん?小山内?小山内清?何か聞いたことある名前だぞ…確か中学ん時そんな名前の先輩の噂を聞いたことがあるような…
たしかニックネームは…伝説のバカ?