その海は、どこまでも碧かった。
「なんだかんだ言って
やっぱ普通のが1番うまいかもな…
さっきカレー食べたからかな…」
オレが頼んだ限定版の白い恋人
海には悪いけど
ちょっと期待はずれだった
「碧くん、もぉ食べてんの?
せっかく買ってきたのに!
ちゃんと味わって食べてよ!」
「ありがと
海も食べる?」
「私は、いいや…」
「結局、海の家の夕飯なんだった?」
「ん、食べてない
なんか、食欲ない」
「さっき、腹減ったって言ってたじゃん
それで泣いたんだろ
海の家だから、焼きそばとか出てきそう」
「…」
無視ですか?
聞こえなかったわけじゃなくて
ウケなかったわけじゃなくて
海、辛いんだろうな…
彼氏となんかあった?
「で、楽しかったの?修学旅行」
「…」
海の肩が震えた
「海、もぉ我慢しなくていいよ
…
さっきの続き、する?
…
汚れてもいいTシャツ着てきたから
思う存分、泣きなよ
…
おいで…海…」
海は黙ってオレの胸に顔をつけた
薄いTシャツを通して
海の涙が伝わってきた