その海は、どこまでも碧かった。
「三咲さんは、かわいいよ」
「なんで、そんなこと言うの?」
「思ったから言っただけ…」
「でも、彼女にはできないんでしょ?」
「うん、三咲さんも考えてないでしょ
今はまだ店長が好きなんでしょ?」
「うん…」
「誰かを真剣に想ってる人って
いいよね
…
店長に真剣に恋してる三咲さんを見て
三咲さんのこと好きになる人いると思うよ」
「風美くん遠回しに
オレにも好きな子いるから…って言ってるね」
「んー…違うかな…
ただ素直に
店長を真剣に想う三咲さんは
かわいいよ
そぉ言いたかった」
三咲さんは
いつの間にか温かくオレに馴染んでた
海みたいに気持ちよかった
また海と重なった
「三咲さん、寝れそう?」
「うん、寝れるかも…」
「おやすみ…」
「うん、おやすみ…」
オレたちは抱き合ったまま
目を閉じた
三咲さんの髪と背中を撫でたら
三咲さんの腕の力が抜けていくのがわかった
おやすみ…
なんでオレ
三咲さんを抱いたんだろう
たぶん
三咲さんがかわいかったから
真っ直ぐでブレないのって
時に虚しくなるよ
三咲さんが好きな店長も
きっとオレと同じことを思ったかもしれない
三咲さんは
かわいいよ
海以外の女の子の匂い
海もこんなふうに
彼氏に抱きしめられるのかな?
三咲さんを抱きながら
海を想う
虚しくて
自分が嫌になる
海を好きすぎて
辛い