その海は、どこまでも碧かった。
「碧くーん!」
「海、どーしたの?走って…」
「碧くんが見えたから…」
「彼氏と帰れ」
「見てたの?」
「見えた
あんなイケメンといたら目立つだろ
…
暗いんだから家まで送ってもらえよ」
「送ってくれるって言ったけど
碧くん見つけたから…」
「オレなら好きな子と一緒に帰るけどね」
「そっか…
そーなんだ」
まだ付き合ったばっかりだから
わかんなかった
「碧くん、手…」
「なに?」
「駅で会って一緒に帰る時
いつも繋いでくれてたじゃん
もぉ繋いでくれないの?」
「うん
だってオマエ、男いんじゃん
さっきまで繋いでたクセに…」
「見てた?」
「見えた
…
ウソ
見えてないけど適当に言った
へー…繋いでたんだ
付き合ってるんだもんな
当たり前か…」
碧くんが独り言みたいに言った