その海は、どこまでも碧かった。

海は女の子だって

随分前から気付いてる



たぶん海が産まれた時から知ってる

3歳だったオレでもわかった



「あかちゃんいいにおい」

「碧、妹ほしがってたもんね
女の子、かわいいね」

「碧くん、お兄ちゃんだね
よろしくね」

「碧、女の子だから優しくしてあげてね」

「うん!やさしくする!かわいい!」



フワフワした海の頬を触った感触

今でも覚えてる



オレにあるものがなくて

不思議に思ったことも



成長する過程で

その違いは少しずつ大きくなって

海とオレは違う生き物なんだって知っていった



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