星が降る夜に
辺りが血で染まり、

敵も味方もいなくなった。

乾いて切れた唇からは、鉄の味がする。

頭も妙に生暖かく、視界に赤が入る。

けれど平気、貴方に会えるのなら。

「──」

短く呼ばれた、私の名前。

愛しい貴方の声。

振り向きたい。けれど動かない。

足が、言うことを聞いてくれない。

声も、出ない。

貴方の名前を呼びたいのに。
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