社会不適合者
#1
松原花奏《まつばらかなで》、中1。
「………花奏、今日は?」
母からのこの質問は、トータルしたらいったい何回目なんだろうかとぼんやり考える。
「…………………行かない。」
掠れた声、それでも声を張り上げたつもりで質問に答える。
「そう…。じゃあ学校に連絡するね。」
「……うん。」
母が部屋を出て行く。枕元に置いてあるスマホを手に取る。
5月24日、午前7時46分。
中学に入学してから、今日で何日経っただろう。私が中学に通わなくなってから…通えなくなってから、今日で何日経っただろう。
一階から、母が学校へ電話を掛けている声がする。母は毎日、『すみません』と受話器越しに担任の教師に謝っている。
母のその言葉を聞くたびに、私の胸はきつく締め付けられる。聞きたくなくて、毛布にくるまった。
「…………で、花奏。」
「!」
何度も呼ばれていたのかもしれない。母は学校への連絡を終えたのか、また私の部屋に入ってきていた。
「お母さん仕事行くからね。今日は残業だから夜の9時くらいに帰るけど、夜の分のシチューも残ってあるからそれ温めて先に食べてていいからね。」
「うん。」
「あと机の上のマカロン、会社の人からの頂き物だけどよかったら食べてね。」
「じゃあ、行ってくるね。」
「うん。」
「……花奏、無理しないでいいからね。」
そう言って母は家を出た。
「………花奏、今日は?」
母からのこの質問は、トータルしたらいったい何回目なんだろうかとぼんやり考える。
「…………………行かない。」
掠れた声、それでも声を張り上げたつもりで質問に答える。
「そう…。じゃあ学校に連絡するね。」
「……うん。」
母が部屋を出て行く。枕元に置いてあるスマホを手に取る。
5月24日、午前7時46分。
中学に入学してから、今日で何日経っただろう。私が中学に通わなくなってから…通えなくなってから、今日で何日経っただろう。
一階から、母が学校へ電話を掛けている声がする。母は毎日、『すみません』と受話器越しに担任の教師に謝っている。
母のその言葉を聞くたびに、私の胸はきつく締め付けられる。聞きたくなくて、毛布にくるまった。
「…………で、花奏。」
「!」
何度も呼ばれていたのかもしれない。母は学校への連絡を終えたのか、また私の部屋に入ってきていた。
「お母さん仕事行くからね。今日は残業だから夜の9時くらいに帰るけど、夜の分のシチューも残ってあるからそれ温めて先に食べてていいからね。」
「うん。」
「あと机の上のマカロン、会社の人からの頂き物だけどよかったら食べてね。」
「じゃあ、行ってくるね。」
「うん。」
「……花奏、無理しないでいいからね。」
そう言って母は家を出た。
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