社会不適合者
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里桜ちゃんが引っ越し、夏休みも終わり、また何もないつまらない日々に戻った。

とある土曜日、私はずっと母に話したいと思っていたことを相談することにした。


「…ねぇ、お母さん…。」

『ん〜?どうした、花奏。』

「私、青鷺中行きたくない。」

青鷺中は、北小に通っている生徒のほとんどが通う中学校。

『……どうして?』

母は読んでいた小説を閉じ、私に問う。

「………中学からなら…やり直せるかもしれないから…。友達…つくりたい…って思って………。」

『………だと、どこに通いたい?』

「………星彩中…。」

星彩中は、東小の子の大半が通う中学校。つまり、里桜ちゃんが通うはずだった中学校。

私は、また里桜ちゃんがきっとこっちへ戻って来てくれると信じていたのだ。

_そんなの、ありえないのに。_

『ん〜、家から結構距離あるよね…。大丈夫なの?』

「大丈夫…、星彩中は、バス通学も許可されてるみたい……。」

『…そっか。…花奏が決めたんだもんね、偉い。…じゃあ、そっちに通えるように手続きしておかなきゃね。』

母は微笑んでくれた。

父は私が4歳の頃、出張先でタクシーを使い移動していた時、事故で死んだ。対向車線から走ってきた大型トラックとの衝突事故だった。大型トラックの運転手の居眠り運転が原因。

幼くして父を失った私に、母はとても優しく接してくれる。その分、女手一つで働いている母は、とても忙しそうで、私も母に気を遣うことが増えていった。

けれど、私は母からの愛情をしっかりと感じていた。何より私の1番の理解者は、紛れもなく母だから。
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