社会不適合者
 そして、私は春から北小の生徒が誰も通わない星彩中に入学した。

新しい、何かを探していた。

_それは、“友達”…?_

『改めて…。皆さん、おはようございます!山咲美奈子《やまざきみなこ》です!今日からこのクラスの担任になりました。担当教科は数学です。1年間、よろしくお願いしますね。』

長い髪の優しそうな先生。今年からの新任教師だそうだ。

『…それじゃあ、皆さんにも自己紹介してもらってもいいかな。とりあえず今は、名前、出身小学校だけでいいかなぁ。いろんな教科の初回授業でも自己紹介すると思うし!』

先生はそう言うと、出席番号が早い順から自己紹介が始まった。


_どうしよう。_

心臓の音がうるさい。

名前はいいよ。何も別に変な名前じゃない。名前でからかわれたこともない。

出身小学校。

私は北小…。
ここにいる大半が東小…。

次の次は私の番。刻一刻と、私の番が近付いてきていた。

次は私の番……。

『…それじゃあ、次お願いします!』

私だ。

覚悟を決める。自己紹介くらいで焦ってたら、今から友達なんかつくれる筈ない。

しっかり、深呼吸した。


「……松原花奏です…。北小から来ました。よろしくお願いします。」

…言えた。

クラスのみんなは、私の方を見て拍手してくれている。よかった、ちゃんと言えた。

みんなみたいに。

『ありがとう、松原さんは北小から来たのね、みんなと違う学校からで大変かもだけど、どんどん打ち解けるといいね!』

「はっ、はい…!」

そうして、自己紹介は終わった。
今日はこれで終わりとなった。

教室を出ようとすると、3人の女の子に名前を呼ばれた。

『松原さん!』

「……………………?」

『ちょっと話があるの…ついてきてくれない?』

にこにこと微笑む、3人。


それはまるで、悪魔のように豹変する。
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