社会不適合者
母が会社へ向かってからは、特に何をするでもなくただただ横になっていた。
スマホは気づかないうちに床の青い絨毯の上に落ちていた。拾い上げると11時38分。

普通の中学生なら、今頃学校に行って授業を受けている時間。けど、私はそうじゃない。“普通”じゃないから。

_あの“悪夢”を、思い出してしまう。_

小腹が空いたから、立ち上がって一階に降りようとした。が、階段を降りる気力も無い。
母が今朝、部屋の机の上に置いて行ってくれたマカロンの箱が目に止まったので、それを取ってベットの上で食べる事にした。

赤いリボンが付いた黒い小さな箱。
中にはイチゴ味のピンク、レモン味の黄色、オレンジ味の橙色、チョコ味の茶色、バニラ味の白、といった5種類のマカロンが入っていた。普通に美味しかった。

マカロンみたいに、甘かったような。
そんな気がするあの時の日々は、もう戻ってくる筈ないって。

_そんなの知ってる。_

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『松原〜!お前ふざけんなよ!』
『いいぞっ彩歌〜、もっと殴っちゃえっ!』

「った………。ごめ…なさい…渋谷さ…。」

『あ?聞こえねーんだっつーの!』
『ほら〜彩歌めっちゃ激おこじゃんか(笑)、何とか言えよ松原ぁ〜!』

「……っ…、痛いっ…。ごめんなさい…ごめん…なさい……、渋谷さん…。」

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私の人生はここから狂い、ここで終わった。

絶対に赦せない、あの“悪夢”。
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