独身狂騒曲


「たまき……?」


 甘ったるい声で私の名前を呟いた政宗も、二日酔いで頭が痛いのかぐっと眉間に皺を寄せ、顰めっ面になる。

 黒霧島二瓶と五郎八一瓶空けたもんね。プラス電気ブランハイボール呑んだもんね。そりゃそうなるわ。

「おはようマサムネ」
「いってぇ……」
「二日酔いよ」
「言われなくてもわかる」

 あー、起き上がれねえ、と呟く政宗に、水を取るために立ち上がる。キッチンの冷蔵庫から500ミリリットルのペットボトルを二本出して、一本を政宗に渡した。


「さんきゅ」
「おう」


 パキッと、未開封だったペットボトルの蓋を開ける音が二つ分、静かに響く。ぐっと口に当てて煽ると、冷たい水が喉を流れる。


「あ゛ー、死ぬ」


 上半身を持ち上げ、数回水を煽るとまた直ぐにカーペットの上に倒れた。気持ちはとてもよくわかる。


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