独身狂騒曲


 キャラメルブラウン、ホワイト、ブラックの三色を取って、再びソファの前に座った。

 除光液の蓋を外すと、特有のシンナー臭が香って思わず顔を顰める。くっせ。テーブルの上にあるティッシュの箱を手繰り寄せて、二、三枚取って除光液を染み込ませて足の爪を拭っていく。


「あ、そだ、来月出張で北海道行くんだけどー」
『へえー』
「お土産、なにがいい?」
『俺、六花亭のキャラメルと白い恋人食べたい』
「わかった。それと木彫りの熊買ってきてあげるね」
『熊いらねえわ』
「遠慮すんなよっ」
『一ミリもしてねえよ』


 色を落とした爪に、新しい色を塗っていく。我ながら器用なもので、一切のムラなく綺麗に爪を覆うキャラメルブラウン。

 ラメが一切入っていないマッドなデザインで、乾くとつるんっとしてとってもとっても可愛い仕上がりになる。乾いたら、ホワイトとブラックで水玉模様にしたり、ストライプにしたりする。で、最後にトップコートを塗って完成!

 んー!綺麗にできた!めっちゃかわいい!

 こんなに可愛くできたのに、見て見てー!って見せるような人もいない……。

 あー!早く彼氏作ろ!とりあえずは週末の合コン!とびっきり可愛くしていかなきゃ!


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