独身狂騒曲
私は三姉妹の末っ子で、一番上の一果お姉ちゃんとは八つ歳が離れている。海外を拠点に仕事をしているお姉ちゃんと会うのは、およそ三年ぶり。
「久しぶりー!珠樹!」
三年ぶりに生で見るお姉ちゃんは、やっぱりめちゃくちゃ可愛くて、綺麗。とても三十路だとは思えないくらいに可愛い。
オートロック式の玄関ドアを開けると、レモンイエローのキャリーバッグを傍らにおいて、細い両腕を広げて私を抱きしめた。ふわりと甘い薔薇の香りに包まれる。
「ど、どうしたのお姉ちゃん、急に来たからびっくりした」
「ふふふふっ。やっと撮影が終わったから、また仕事を入れられないうちにと思って帰ってきたのよ」
「でもなんで家に……」
「パパとママはイタリアに旅行に行っちゃってるし、和泉は彼氏が泊まりに来てるから来るなって言われちゃったし」
ぷく、と頬を膨らませるお姉ちゃん。こんなのやって許される三十路はお姉ちゃんだけだと思う。お母さんもやるけど。ちなみに和泉ちゃんは、私の三つ上の二番目のお姉ちゃん。