残業は、何のため?
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ーー肩、凝ったな。



軽く首を回しながら、パソコンの時計を見ると、もう19時を過ぎている。
そのまま視線を窓に移すと、薄闇にキラキラ瞬いている、街の灯り。



私は、コーヒーを淹れ直すと、フロアの入り口を見遣りながらカップに口をつけた。

まだ終わらないんだ、会議。

なんだか、『帰りを待っている』みたいだな。

私は、膨らませた妄想を、首を振って消す。
埒もない。

一息ついて、改めてキーボードの上に手を置いた。
さあ、こっちもあともうちょっと。
頑張りますか。








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