貴方なんて許せる訳がない
話し合い
どこか静かに話せる所と思ったけれど……。
近くに喫茶店などある訳もなく、結局、今夜二人が宿泊予定の部屋に移動する事になった。
正直、吐き気がする。でも強くなろうと心に決めた。
和室は離れになっていて、こういう二人には丁度良い部屋なのだと思った。
「冨川が何で居るんだ?」
「私達が旅行で来ていて今夜少し寄りたいと瑠美ちゃんに電話をしたの。あんたに携帯が繋がらなくて冨川さんに早く帰宅するよう伝言をお願いしたら……。有給休暇取ってるって分かったのよ」
「何で、きょうに限って……」
まるで運が悪かったとでも言いたそうな夫に心底呆れる。
「ふざけるな。お前は自分が何をしているのか分かって言っているのか?」
いつも優しい温和なお義父さんが声を荒げる所を初めて見た……。
「それは……」
「日曜日の夜に出掛けて帰らないのは、この人と一緒に居たからなんですね?」
「そうよ。私と瑛は付き合いが長いのよ」
ウェーブの強いロングヘアの毛先を弄びながら青味がかった紅い口紅の女は答えた。
今時、このファッションはないなと思うけど……。瑛の趣味の悪さに溜息しか出ない。
「いつからですか?」
「あなたと結婚する前からかしらね」
勝ち誇った顔で女は言う。
「じゃあ、どうして瑛と結婚しなかったんですか?」
「結婚? そんな面倒な物しないわよ。今が楽しければそれで良いのよ。私はね」
「そう言っていられるのも、あと少しね。あなたお歳は?」
お義母さんは落ち着き払って聴く。
「何歳だって良いでしょう」
とてもナチュラルとは言えない濃いメイクの顔を歪めて女は言い放った。
「瑛みたいなバカな男はそうそう居ないわよ。その色香で若い男を手玉に取るのも時間の問題ね。直に誰からも相手にもされなくなるわよ」
「…………」
近くに喫茶店などある訳もなく、結局、今夜二人が宿泊予定の部屋に移動する事になった。
正直、吐き気がする。でも強くなろうと心に決めた。
和室は離れになっていて、こういう二人には丁度良い部屋なのだと思った。
「冨川が何で居るんだ?」
「私達が旅行で来ていて今夜少し寄りたいと瑠美ちゃんに電話をしたの。あんたに携帯が繋がらなくて冨川さんに早く帰宅するよう伝言をお願いしたら……。有給休暇取ってるって分かったのよ」
「何で、きょうに限って……」
まるで運が悪かったとでも言いたそうな夫に心底呆れる。
「ふざけるな。お前は自分が何をしているのか分かって言っているのか?」
いつも優しい温和なお義父さんが声を荒げる所を初めて見た……。
「それは……」
「日曜日の夜に出掛けて帰らないのは、この人と一緒に居たからなんですね?」
「そうよ。私と瑛は付き合いが長いのよ」
ウェーブの強いロングヘアの毛先を弄びながら青味がかった紅い口紅の女は答えた。
今時、このファッションはないなと思うけど……。瑛の趣味の悪さに溜息しか出ない。
「いつからですか?」
「あなたと結婚する前からかしらね」
勝ち誇った顔で女は言う。
「じゃあ、どうして瑛と結婚しなかったんですか?」
「結婚? そんな面倒な物しないわよ。今が楽しければそれで良いのよ。私はね」
「そう言っていられるのも、あと少しね。あなたお歳は?」
お義母さんは落ち着き払って聴く。
「何歳だって良いでしょう」
とてもナチュラルとは言えない濃いメイクの顔を歪めて女は言い放った。
「瑛みたいなバカな男はそうそう居ないわよ。その色香で若い男を手玉に取るのも時間の問題ね。直に誰からも相手にもされなくなるわよ」
「…………」