ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
水上兄弟が出て行って、次の注射の準備をしていると。

「大丈夫だって、全然痛くないから」
「やだよ。怖い」

終わったはずの陽翔くんの声がする。開いたままの診察室の扉から、陽翔くんが嫌がるお友達の背中を押しているのがみえた。

「陽翔くんのお友達なのかな?
…あれ?涼音ちゃんじゃない?四辻涼音ちゃん」

手元に回ってきた予防接種の予診票の名前に気づいた。私に名前を呼ばれて、ビクビクしながら入って来たのは、やっぱり涼音ちゃんだった。

「えー!マナ先生!ママ、マナ先生だよ」

後から現れた初音さんが涼音ちゃんの声にびっくりしている。その腕に泣きだしそうな奏くんを抱えていた。

「まぁ、真菜さん!すごい偶然」
「お久しぶりです、初音さん。予防接種ですね?」
「そうなの。いつもは違う病院なんだけど、陽翔くん達にすごく注射が上手な優しい先生がいるって勧められて。まさか、真菜さんだったなんて」

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