ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「ありがとう真菜さん。毎年予防接種は大暴れで困ってたの。助かった!」
「いえ。こちらこそビックリしました。水上兄弟とお友達だったなんて」
「二人のお母さんと私が幼馴染でね。偶然子供の歳も一緒で、仲良くしてもらってるの。
いけない、待合室混んでるのに長話ししたらいけないわね。
…でも、一つだけ」

初音さんは近くの看護師に気を使い、そっと私の耳元でささやいた。

「孝弘とはどう?」

当然、気になりますよね。遠距離恋愛だって知ってるわけだし。

「連絡は取ってます」
「あの子も最短で何とか研修終わらせるって頑張ってる。真菜さんも忙しいと思うけど、あの子のことよろしくね。おとなしくて不器用だけど一途で可愛い子なの」

初音さんはそう告げて、子供達を連れて帰っていった。



初音さんにお会いしたら、ハワイでの思い出が頭をよぎる。とても幸せで、楽しくてキラキラした三泊五日だった。
孝弘さんは今頃どうしているかな。


「二葉先生!次の患者さん呼びますよ!」

「ハイ、お願いします」


いけない。
すぐに現実に戻る。

孝弘さんは、遠くニューヨークの空の下。
次に会えるのも、いつかわからない。もしかしたらもう会えないかもしれない。
だから思いを馳せたりするのはやめよう。私には今、考えてやらなくちゃならないことが山積みだ。

さ、頑張らなくちゃ。今日の予約分の予防接種まだまだあるし、午後の診察もあるんだから!









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