ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「そんなの、琴羽がうまくやっておいてあげて。家具とかもダメでしょ?今夜からどうしますか?二葉先生のご実家はどちら?帰れるところ?」
「ご実家からだと、ここまで公共交通機関を使って1時間45分はかかります。オンコールに対応も難しいですね」

私が答える前に琴羽さんがタブレットを見て言った。本当に仕事が出来るというか、すごい女性だ。相変わらず、事務的で雰囲気が怖いけど。

「あいにく寮は空いていません。水上医師の言う通り、しばらく仕事は休んで怪我の治療と住まいの事に専念する方向がよろしいかと」

琴羽さんが事務部長にタブレットを差し出す。そこに何が表示されているかはわからない。

「とりあえず、今夜は俺のところに泊めようと思います。怪我は軽症ですが、精神的にはこたえていると思いますので」

そこで初めて長野先生が口を開いた。琴羽さんが長野先生を見て首をかしげる。

「長野先生は独身で一人暮らしですね?
お二人はお付き合いされているんですか?」

「と、とんでもない!」

私は慌てて否定した。長野先生と、だなんてとんでもない。医師としては尊敬してるけど、男性としてなんて見れない!

そんな私を見て、事務部長は全てを察したらしい。小さく笑って、一つ提案してくれた。
< 118 / 234 >

この作品をシェア

pagetop