ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「部屋の掃除は定期的に行っています。さっき、マンションの管理人に連絡して確認したところ、直近は三日前でしたから、綺麗だと思います」

あ、もう、笑顔はない。いつもの淡々とした琴羽さんに戻ってる。

「じゃ、行きましょう。琴羽、お休み」

私は事務部長と車を降りる。すると、車はスッと駐車場を出て行った。

「秘書さんは、ここにお住まいじゃないんですか?」
「琴羽は、実家から通ってます。病院から歩いて十五分くらいのところ」
「ということは、病院長と暮らしてるってことですか」
「あの子の周りは医療関係者ばかりなんです」

そう言えば、以前長野先生が言ってたっけ。病院長の娘なのに、医学部に入れなかったって。

「二葉先生のお部屋は、5階の503号室です。
私は501号室ですから、何か有れば遠慮なくおっしゃって下さい。
では明朝、八時に」


着の身着のままの私は、こうして、おしゃれなデザイナーズマンションの空き室にとりあえず避難することになった。

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