ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜




その部屋は、まるでホテルのようにシンプルだった。急に泊まることになったけど、住人の住んでいた形跡があったら、居心地悪い。生活感がなくて、かえって良かった。

「はぁ…」

いろんな事がありすぎて、さすがに限界。

私の部屋、どうなっちゃったかな。全部燃えてしまったのかな。

私はずっと抱えていたバックを開けた。
預金通帳やら印鑑やら、ごちゃごちゃ突っ込んだ中に写真立てを見つけた。

表面は汚れ、ガラスにヒビが入ってしまったけど、写真は無事だ。良かった!


ーー先生、私、今でもホントにツイてないよ。


白衣姿の先生は、いつもと変わらぬ笑顔で私を見ている。その笑顔に、元気が湧いてくる。
写真立てについた汚れを拭きたいな。ティッシュかハンカチ入ってなかったっけ?
バックの中をもう一度見る。
するとヨレヨレのシワシワになって、黒い汚れがついたムームーが丸めて突っ込んであった。引っ張り出して広げれば、ドアを開けるために手に巻いていたせいか、あちこち火の粉で焦げている。


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