ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
正直、知らない人が僕の部屋に寝泊まりするのは嫌だ。だが、花音の指示なら仕方ない。

「その医者、花音はずいぶんと評価してるんだね」

『そうね。
火傷もしてるし、しばらく休ませてあげようとしたのよ?なのに花音は、明日も通常通りの仕事させる気よ。上手く乗せられてかわいそうに。
孝弘くんは、年末年始は日本で?』

「ちょうどいまから空港に向かうところ。でもいいよ、実家に帰るから。
明日、花音はどこにいるの?」

『光英大学病院でデスクワークよ』

「じゃあ、ちょっと顔出すよ。琴羽ちゃん、遅くまでお疲れ様」

『ありがとう。じゃあ、気をつけて帰ってきてね』


切れた電話を耳から離せない。琴羽ちゃんが僕に気をつけて帰ってきて、だなんて。
僕の初恋の人の声が、優しく耳に残る。
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