ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜

冗談…ですよね?

窓の外は夕焼けに赤く染まっていた。
なんとなく、火事を思い出して憂鬱になる。

私は自分のスマホに送られてきた写真を見て、深いため息をついた。


「あれ、二葉?今日は早く帰れって言ったろ?まだ帰ってなかったのか」
「あ、お疲れ様です、長野先生。
凛ちゃんの容体が安定しないんです」
「そっか…。心配だな。でも、あとは俺に任せろ。ん?それ、何見てるの?」


私が見ていたスマホの画面を、長野先生がひょいとのぞきこんで、絶句する。

「お前、それ…」

さっき琴羽さんが送ってきてくれた、私のアパートの写真だ。
部屋の中は焼けて真っ黒。家財はかろうじて形を残しているが、ベッドなどは燃えて炭と化している。消火剤が部屋一面に撒かれていて見るも無惨な様子だ。
やっぱり、琴羽さんにお任せしてよかった。頭ではわかっていたけど、現状をこの目で見たら動揺して思考がまともに働かなかっただろう。

「思ってたより、焼けてしまいました。事務部長には些末なことなんて言っちゃいましたが、やっぱり、ショックですね。自分の部屋がこんな状態になっているなんて」

< 143 / 234 >

この作品をシェア

pagetop