ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「あわわ、“自由しよ”って送っちゃった!長野先生、急に驚かせないでください!
ここ、医局ですよ?冗談が過ぎます。誰かに聞かれたら勘違いされちゃう。
…長野先生こそお疲れなんじゃないですか?私を誰かと間違えていませんか?」
「都合よくみんな出払ってて、誰も聞いてないよ。
間違えてやしないさ、後輩の二葉真菜に言ってるの。お前見てると心配なんだ、ツイてないことばっかりで。守ってやりたい。本気でそう思ってる」

長野先生は女癖こそ悪いけど、人当たりよく、優しく、頼りになる先輩。いつでも笑顔で、周囲を和ませる天才。
そんな長野先生が、私を守りたい?

「えっと…えっと…、告白の練習…?」
「んなわけあるか」

ですよね。どう考えても、冗談言う雰囲気じゃないですよね。
こういう時ってどうしたらいいんだろう。うまく返すセリフを見繕う。

「合コン大好き、若い女の子大好き、お相手には困らない長野先生が?
火事で焼け出された私に同情してるだけじゃないんですか?私なら大丈夫ですよ。確かにツイてないけど、すぐに仮住まいも見つかったし、意外にラッキーにも恵まれているんです」
「そういう前向きなところ。すごく好きだ。仕事に真摯に向き合って取り組んでいる姿も、いつもはじけるようなこっちまで元気にしてくれるような笑顔も好きだ」

ヤバい。もはや、はっきり『好き』って言われちゃってる。どうしよう。
これからも毎日仕事で顔を合わせるのに、断りにくい。

まるで金魚のように口をパクパクして、何も言えずにいると。
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