ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
そっと孝弘さんに歩み寄ったまさにその時、高らかにインターフォンが鳴った。
カメラに写っていたのは琴羽さんだ。

「琴羽ちゃん!!どうしたの?」

あれ?
応対する孝弘さんの声がちょっとうわずってる。なんだかうれしそう?

『ごめんね、二葉さんにこれ、渡すのを忘れたの。マンションのコンシェルジュにお願いしておくわ』

カメラに大きな紙袋が映し出される。

「それ、中身何?」
『着替えとか日用品。足りないものがあったら教えて。服はサイズが合わなかったら交換するから』
「じゃ、上がってよ琴羽ちゃん!マナ本人に確認してもらう」

琴羽さん、わざわざ届けに戻ってきてくれたんだ。助かるなぁ。
それにしても、孝弘さんのうれしそうな様子。ちょっと、引っかかる。



部屋にやってきた琴羽さんは大きな紙袋を二つも持っていた。中をのぞけば、着替えや、歯ブラシ等のアメニティ、化粧品まで入ってる。

いつも使っているものよりずっといいものだ。てっきり、琴羽さんが使わなくなったものとかをお裾分けしてくれるのかと思ってた。洋服も新品だ。

「充分すぎます!ありがとうございます」

「サイズはどうですか?」

入っていた服を取り出して体に当ててみる。若干大きめだけど袖や裾を折れば大丈夫そうだ。

「ちょっと、大きめね。やっぱりお休みを取って生活必需品とか買い足す時間を作らなきゃ。孝弘くん、花音に上手くいって何とかしてあげて?」

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