ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「いっそ、今呼び出そう。どうせあいつ部屋で仕事してるだろうし。琴羽ちゃんと僕の二人がかりなら花音だって折れるだろ」

いうや否や、孝弘さんはスマホを取り出す。
結構遅い時間だというのにいいのかな?花音さん、仕事中みたいだし迷惑なんじゃないかな?

「二人がお付き合いしていたなんて、偶然とはいえ幸いでした。火災についての諸々の必要なことは孝弘くんにお願いしてあります。
明日は、孝弘くんが花音を車で会社に送りますから、二葉さんも一緒に乗っていって下さい」

琴羽さんの言葉で思い出した。送迎は助かるけど、自分でも通えるように道を覚えなきゃ!

「あの、琴羽さん、さっきは慌てていて”自由しよ”なんて変なメール送ってすみませんでした。ここの住所を教えていただきたくて」

住所をメモしておこうと、私はバッグの中をあさる。スマホのメモ機能を使うつもりだ。
火事の時に持ち出した荷物はすべてまだバッグの中にいれているから、中身がぐちゃぐちゃ。
スマホどこだ??

「二葉先生そんな慌てなくても。孝弘くんがいるんですから。後で住所教えてもらって?」
「あ、そっか」

孝弘さんに聞けばいいじゃないか!琴羽さんに言われてハッとなった時、探していたスマホがバッグから滑るように床に落ちた。
あわてて拾おうとしたら今度はバッグがひっくり返って中身をすべてばらまいてしまった。

「あわわ…すみません!」

落ちたものをかき集めていると、琴羽さんが手伝ってくれた。

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